早咲きで知られる金剛宝寺(紀三井寺)です。
このお寺は、紀州にある三つの井戸の有るお寺ということで紀三井寺と名付けられたお寺です。
今でも境内には清浄水、楊柳水、吉祥水の三つが湧き出ていています。
小雨の降るなか、最寄りの駅から15分歩くと楼門にたどり着きます。
この楼門は室町時代の1449年に建立された、国の重要文化財に指定されています。牡丹と菊の彫刻が彫られている朱色の門は、雨に濡れて一層鮮やかに見えました。
ここから、231段の急な石段「結縁坂(けちえんざか)」を
登ります。
「雨で滑ったら大変だね」
なんて会話しながら登っていましたが、頂上に着いた時には息が上がってしまいました。
紀三井寺の美しい風景は多くの歌人や文人に愛されていて、俳聖・松尾芭蕉も一句詠んでいます。
見上ぐれば 桜しもうて 紀三井寺
2つ目の国の重要文化財の護国院鐘楼は、安土桃山時代の特徴を表している朱色と黒の建物で、中にある鐘の為に作られた雨風を凌ぐ家のようです。
清め水で手を洗い、線香をあげました。香炉の下で3体の鬼がぐっと歯を食い縛って腕を組み、香炉を支える姿がとても逞しく感じました。
本堂の中に入り、
皆様の健康を願って御本尊にお参りいたしました。
御朱印に書かれた美しい字と菊印をいただいたときは、汚さないように緊張しながら墨を乾かしました。
本堂の天井に描かれている天女は、季節・時刻により見え方が違うと知り、
長く眺めていたら、首が痛くなってしまいました。
観音様にも願い事を救い取って戴ける様にと杓子に願い事を書いて祈願します。
願い事を書いた杓子を大杓子に三度打ちつけて願いがかなうように祈ってから納めますが、皆様の健康を願って打ち付けたところ、
コン コン コンと良い音がしました。
本堂を出て少し急な階段を登ったところに3つ目の国の重要文化財の
護国院多宝塔が見えます。
1441年に風害で倒壊、1449年に室町時代中期の様式で再建された多宝塔は、1階部分は四角で2階部分は円形という境内の中で唯一の流麗な姿をとどめている建物です。
紀三井寺には、不思議な応同樹があります。
その昔、開山為光上人が説法のお礼として龍神から戴いたとされる7種の宝物の一つで、この木の葉を浮かべた水を飲んだり、あるいは首に掛けておくなど、病に応じて薬になると云われている霊木です。
創建のころの母株から種子が落ちて自然に発芽成長し今日に至っていますが、樹齢は推定150年以上だそうです。
いつの間にか雨が上がっていて、まわりも少し明るい感じが・・・。
今度は晴天の日に是非訪れて、紀三井寺の美しい風景を見てみたいですね。